上記のようにと複数のステップに分かれており、それぞれに押さえておくべきポイントがあります。
この記事では、起業にはどのような方法があるのか、事業内容によってどの選択肢が合っているのかを解説したうえで、起業の具体的な手順や手続きについても解説していきます。起業を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
個人事業主とは、会社を設立せず、個人で起業して事業所得を得ている人のことをいいます。
具体的な職業としては、個人事務所を運営している弁護士や税理士などの有資格者、個人の飲食店経営者、フリーランスなどがイメージしやすいでしょう。
個人事業主のメリットとしては、起業の手続きが簡単で、費用も特にかからないことが挙げられます。法人税などがかからないため、利益が少ない場合は法人に比べて税金面の負担が小さくなります。
一方で、個人事業主のデメリットとしては、法人と比べると社会的な信用に欠けるため、クライアントの信頼を得ることや、金融機関からの融資を受けることが難しいということが挙げられます。また、利益が増えてくると税金の負担が増すこともデメリットです。
人を雇わず1人で事業を始める場合や、小規模でスタートしたい場合などには、個人事業主としてスタートする場合が多く見られます。
利益が拡大したり、人員が増えたりしてから法人化することも可能なので、後に法人化する想定で個人事業主として立ち上げを行うケースも少なくありません。
株式会社は、株主から出資を集めて起業する会社形態です。
一般に会社と言うと、この株式会社を思い浮かべる方が多いでしょう。誰もが知るような大企業の多くはこの株式会社ですが、一方で、株主が数人だけの小規模な株式会社も多くあります。
株式会社のメリットとしては、社会的な信用が高いということが挙げられます。クライアントからの信用も得やすく、金融機関からの融資も受けやすい傾向があります。また、新株発行による資金調達も可能で、大きな資金を集めることができます。
一方で設立手続きが複雑で設立費用も高いというのがデメリットです。また、決算公告の義務があることや法人税の支払義務があることで設立後も維持コストがかかります。
広い範囲から資金を集めて事業をスタートしたい場合や、多くのコストや人員をかけてスケールを狙う場合には、株式会社での起業がおすすめです。
合同会社は、出資者が自ら業務執行を行う会社形態です。2006年の会社法の施行により新たに導入された比較的新しいもので、株式会社と比べるとまだまだ知名度は低いと言えます。
合同会社のメリットとしては、設立費用を抑えつつ、税制面で法人としての優遇を受けられるということが挙げられます。また、株式会社と異なり決算を公告する義務がないため、設立後の維持コストも抑えられます。
一方で、合同会社には知名度が低く、社会的な信用を得にくい傾向がある点がデメリットと言えます。金融機関から大きな融資を受ける場合にハードルがあり、株式会社と異なり新株発行などによる資金調達も行えません。そのため、大きな資金を集めるのには向いていないと言えます。
安定した需要が見込める領域を狙ったスモールビジネスなど、先ずは小さな事業でスタートしたい場合には合同会社がおすすめです。合同会社でスタートしても、事業か軌道に乗ったところで株式会社に組織変更することができます。株式会社を設立したいと考えている場合でも、コストとリスクを抑えるために合同会社での立ち上げを選択するケースは少なくありません。
起業のためには、まずは、起業して何をするのかを明確にすることが必要です。
事業アイデアがあいまいな状態で起業をしても成功することは難しいでしょう。何をやりたいのかだけではなく、その事業のニーズも十分に検討したうえで事業アイデアを具体化することが重要です。
事業アイデアを具体化するうえでは、自分の持つ経験やスキル、人脈などの振り返りをすることが有効です。
紙に書き出すなどして、これまでの経験やスキル、人脈の中で事業に活かせるものをピックアップしていきましょう。
自分の中で事業に活かせそうなものは何なのかを目に見える形で認識することは事業アイデアを具体化するうえで重要です。
事業アイデアの具体化により、何をしたいのかが明確になったら、その事業をするために許認可や資格などが必要なのかを確認しましょう。
事業内容によっては、許認可や資格が必要なものもあるため、まずはそれを確保することが必要になります。
許認可や資格を得るためには時間がかかるものも多いため、起業の時期などのスケジュールを組むうえでも許認可や資格の要否や取得にかかる時間を確認することは重要です。
建設業、古物商、飲食店、薬局、医薬品販売業、運送業、旅館業、旅行業、廃棄物処理業など身近な業種の多くに許認可が必要です。
また、弁護士、税理士、行政書士、宅地建物取引士などの士業も資格がなければ業務を行うことができません。これらの資格の試験は年に1回しか行われていないため、年単位で起業のためのスケジュールを考える必要があります。
事業アイデアを具体化し、許認可や資格の確認を終えたら、具体的な事業計画を立てます。
事業計画で決めるべきこととしては次のようなものが挙げられます。
事業アイデアを具体化する過程で、事業の目的は決まっていることでしょう。
事業目的は起業の際も起業後においても、事業における全ての基盤となります。明確な目的を持ち起業し、起業後もその目的を達成するために事業を継続することが事業を成功させるうえで最も重要なことと言えるでしょう。
事業アイデアを実現するのに合った起業の方法を選ぶようにしましょう。
個人事業主、株式会社、合同会社、それぞれのメリット、デメリットを考慮して、事業内容に合った方法を選ぶことが重要です。
個人事業主から法人化する、合同会社から株式会社に組織変更するということも可能なので、最終的な事業目的を達成するためには株式会社が最適と考えられる場合であっても、まずは個人からスタートするという方法もあります。
スタート段階だけでなく、将来的なプランも考慮して起業の方法を選択するようにしましょう。
事業を1人でスタートさせるのか、複数人でスタートさせるのか、それぞれの役割はどのようなものなのかを決めましょう。
事業への関わり方としては、出資者、経営者、従業員などがあり一律に決まるものではありません。たとえば、個人事業主として起業する場合であっても、従業員を雇うことはできますし、株式会社を設立する場合であっても自分1人が出資者かつ経営者となる方法もあります。
起業にあたっては、1人1人の役割を明確にしておくことが重要です。
起業するのに必要な資金はもちろんのこと、当面の運転資金も含めて必要な資金を計算するようにしましょう。
起業するのに必要な資金としては、事務所を借りるための初期費用、電話、パソコン、デスク、会議テーブル、その他の備品などの設備費用があります。会社を設立する場合には、さらに設立費用も必要です。
起業後の運転資金としては、賃料、通信費用、仕入れ費用、広告宣伝費、光熱費などが挙げられます。また、自身の生活費や従業員を雇う場合の給与なども大きな金額が必要です。
法人の場合は登記申請のための手数料などの資金がさらに必要になります。
事務所を借りるための初期費用や、賃料は、レンタルオフィスやバーチャルオフィスを利用することで大幅にコストダウンすることができます。
レンタルオフィス、バーチャルオフィスの利用では、多くの拠点と会員数による信頼と実績が豊富なリージャスをおすすめします。
許認可や資格の取得時期や資金の準備期間を考慮して起業の時期、タイミングを決めましょう。
いつ、起業するのかを決めたうえで、逆算して準備を進めていくことが重要です。
許認可の手続きには修正対応なども含めて相当な期間がかかる場合もあるので、余裕を持った計画を立てるようにしましょう。資金の準備について金融機関からの融資を検討している場合にも、審査にどれくらの時間がかかるのかも考慮しておくことが必要です。
どこで開業するのかも決める必要があります。自宅で起業するのか、新たに事務所を借りるのか、事務所を借りるとして場所はどこにするのかなど、場所を決めるのにも多くの選択肢があります。
自宅で起業する場合はコストを抑えられるというメリットがありますが、クライアントなどに自宅住所が知られることになるためプライバシーが守られないというデメリットがあります。新たに事務所を借りるには、初期費用や内装費用が必要となるため、資金を準備することが必要です。
事務所を借りるとしても、バーチャルオフィスやレンタルオフィスを利用することで、初期費用やその後の賃料などを大きく抑えることができます。
個人事業主として起業する場合でも自宅住所を公開せずに事業を行えるため、バーチャルオフィスなどを利用するメリットは大きいでしょう。また、会社を設立する場合にも、レンタルオフィスの住所地を本店として登記することができますので、コストを抑えて起業するには有効な選択肢の1つです。
レンタルオフィス、バーチャルオフィスの利用では、多くの拠点と会員数による信頼と実績が豊富なリージャスをおすすめします。
事業に必要な資金がわかったら、実際にその資金を準備する必要があります。
資金を準備するための方法としては、次のようなものが挙げられます。
リスクを避ける観点からは、自己資金で開業資金を準備できるのであれば、最適な方法と言えるでしょう。
親族などからの借入は、良好な人間関係が壊れてしまうリスクもあるため、それも十分に考慮することが必要です。
投資家や知人から出資を受けるのも資金調達の方法の1つです。
出資を受ける場合には、出資者にどのようなリターンを与えるのかという条件面を明確にしておくことが重要です。
出資比率や配当金、プレミアムなど出資を受ける段階で明確にしておかなければ揉める原因になりかねません。
会社を設立する場合や、仕入れが必要な場合など開業資金にある程度大きな金額が必要なときには、金融機関から融資を受ける必要があるでしょう。
起業の際には、銀行などの金融機関からの信頼を得る難易度は高く、融資を受けるのは容易ではありません。
その場合には、公的機関である日本政策金融公庫や地方自治体の創業融資の制度を利用するのが便利です。創業融資の審査には、審査資料である事業計画書の内容が重要になります。専門家に相談することで融資を受けやすくなることもありますので、不安がある方は相談を検討しましょう。
事業の内容や時期によっては、補助金を受けられる場合があります。
補助金は返済の必要がないものですので、利用できる場合には積極的に利用しましょう。
ただし、補助金は起業後に支払われるもので、支給までの時間もかかるため、開業時点の資金として計算するのは難しい面もあります。
最近では、クラウドファンディングで開業資金を集めるという方法も広く行われています。
クラウドファンディングも出資の一種であり、条件面を明確に決めることが重要です。クラウドファンディングで起業したあとに、条件が守られていないなどとしてトラブルになるケースも少なくありませんので、十分に実行可能な条件を設定するようにしましょう。
事業計画を立て、資金の準備もできたら、いよいよ最終の実際に起業するステップです。
個人であれば開業届を提出し、法人であれば設立登記をすることで事業がスタートします。
具体的な開業手続き、設立手続きについては次の章で詳しく解説します。
個人事業主として事業を開始するための手続きは、税務署への開業届の提出のみで足ります。
また、必須ではないものの、税金の控除を受けるために所得税の青色申告承認申込書は提出しておくことをおすすめします。
開業届や青色申告承認申込書の提出先は、事業を行う住所地の税務署です。つまり、自宅で起業する場合には自宅住所地の税務署、事務所を借りて起業する場合には事務所住所地の税務署となります。
レンタルオフィスを利用する場合には、レンタルオフィスの住所地の税務署が提出先となりますが、バーチャルオフィスを利用する場合には、自宅住所地の税務署を提出先とすることも可能です。バーチャルオフィスの住所地が遠方である場合には、自宅住所地の税務署を提出先としておく方が手続きのうえでは便利でしょう。
また、従業員を雇用する場合には、労働基準監督署やハローワークにて所定の届出を行う必要があります。
法人の設立手続きについては、株式会社と合同会社の2つの場合に分けて解説します。
株式会社を設立するためには、定款を作成し、公証人の認証を受ける必要があります。株式会社の定款の認証を受けるためには認証手数料として、資本金の額に応じ3万円から5万円がかかります。
定款は、電子定款か紙の定款を選ぶことができますが、紙の定款については、4万円の収入印紙が必要です。
株式会社の定款の必要的記載事項については、会社法27条に規定されています。
定款には本店所在地を記載する必要があり、登記によって公開される情報となります。自宅住所で登記することもできますが、プライバシーの観点から抵抗がある場合には、レンタルオフィスを利用することもおすすめです。
定款を作成したら、法務局で登記申請を行います。登記申請に必要な書類は次のとおりです。
株式会社の設立に必要な登録免許税の額は資本金によって変動しますが、最低額は15万円となります。
登記により株式会社が設立されたら、法人設立届出書や青色申告承認申請書など所定の書類を税務署に提出します。
また、従業員を雇用する場合に、労働基準監督署やハローワークにて所定の届出を行う必要があるのは個人事業主の場合と同じです。
合同会社を設立するためには、株式会社の場合と同じく定款を作成し、公証人の認証を受ける必要があります。ただし、株式会社の場合と異なり認証手数料はかかりません。
もっとも、紙の定款については、4万円の収入印紙が必要です。
合同会社の定款の必要的記載事項については、会社法576条に規定されています。
定款を作成したら、法務局で登記申請を行います。登記申請に必要な書類は次のとおりです。
合同会社の設立に必要な登録免許税の額も資本金によって変動しますが、最低額は6万円で株式会社の15万円と比較すると半額以下となっています。
登記により合同会社が設立されたら、法人設立届出書や青色申告承認申請書など所定の書類を税務署に提出します。
また、従業員を雇用する場合に、労働基準監督署やハローワークにて所定の届出を行う必要があるのは個人事業主の場合と同じです。
この記事では、起業の仕方についてまとめました。
起業を検討されている方は、起業の具体的な手順を参考に、ご自身の起業アイデアに合った方法での起業を目指してみてください。
どの方法で起業する場合でも、プライバシーを保護したり、コストを抑えたりするためにレンタルオフィスやバーチャルオフィスの利用が効果的です。
この記事の執筆者:
日本リージャスホールディングス株式会社
世界120カ国、3,300拠点、ユーザー数800万人のネットワークを有するフレキシブルオフィスの最大手、リージャスグループ(IWG社)。その日本国内事業展開を担う日本リージャスホールディングス株式会社は、1998年の事業開始から現在までに47都市、172拠点(2022年6月末時点)を開設してきました。その強みは出店地域の特性に応じて様々なタイプのフレキシブルオフィスブランドを展開している点です。国内のリージャスは、高級ブランド「Signature」(シグネチャー)、コミュニティ型の「SPACES」(スペーシズ)、ハイグレードな「Regus」(リージャス)、リズナブルな「オープンオフィス」、交通機関隣接型「リージャスエクスプレス」の5ブランドを展開し、多くの皆様に快適なフレキシブルオフィスを提供しています。