地球環境を意識する“エココンシャス”な人が増えるにつれ、企業にも環境に配慮したサービスや取り組みが求められるようになりました。あらゆる業界・規模の企業にとって、オフィスを持続可能なものにするための取り組み「グリーンイニシアチブ」を推進することは、環境問題や社会課題への責任を果たすだけでなく、企業の成長や価値向上につなげるための大きな一歩と言えるでしょう。
この記事では、サステナブルなオフィス作りのヒントとなるようなアイディアをご紹介します。
オフィスでのサステナビリティ推進は、地球環境に優しいだけでなく、そこで働く従業員のモチベーションを高め、企業の成長や価値の向上にもつながります。また、長期的に見ればコスト削減にもつながる素晴らしい取り組みです。
いまは多くのビジネスパーソンが、自分たちの行動が環境に与える影響について意識しています。企業はオフィスでできる持続可能な取り組みをサポートすることにより、従業員のモチベーションとエンゲージメントを高めることができるのです。
成長中の企業にとってもサステナビリティの向上は重要です。マッキンゼーによると、専門家の83%が「環境・社会・ガバナンス(ESG)に取り組むことが、今後5年間の株主価値を高める」と語っているといいます。同様に、EYのグローバル機関投資家に対するグローバル調査(Global Institutional Investor survey)では、機関投資家の74%が、「サステナビリティのパフォーマンスが低い企業から投資撤退をする」と回答しています。
こうした結果からも、オフィスでグリーンイニシアチブを推進することは、投資対象としても将来的な企業価値を高めるメリットがあると言えます。
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オフィスでのサステナブルな取り組みを増やすことで、オペレーションコストを抑えることができます。その取り組みは、エネルギー使用量や廃棄物処理費用の削減まで多岐にわたります。
持続可能な社会を実現するためには、オフィスだけでなく社内のオペレーション全てにおいて、より環境に配慮した新しく革新的なソリューションを打ち出すことが必要です。
職場でサステナビリティを推進することは、従業員が目的意識を共有することにつながります。より環境に優しい世界を目指して共に働くことで、従業員のモチベーションと企業カルチャーが高まります。
環境に配慮した持続可能な事業を行っている企業では、従業員がより積極的に働くようになる傾向にあると言われています。また、従業員一人ひとりが自主的に環境に配慮した取り組みを行えるようにすることで、勤め先へのロイヤルティが改善され、定着率も向上します。
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では、ワークスペースをより持続可能なものにするためには、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか?
製品がライフサイクルで排出する温室効果ガス(CO2)の総量を表すカーボンフットプリント(CFP)は、各企業・各オフィスによって異なります。日本でも経済産業省がカーボンフットプリントに関する素案を発表し、2023年3月にその算定方法やルールなどを公表しました。
このデータを利用すれば、ワークスペースの移転や通勤時間を減らすハイブリッドワークの導入、植林を始めることによるカーボンオフセットなど、カーボンニュートラルを実現するためにそれぞれの企業がどのような取り組みをするべきか、検討することが可能になります。
オフィスで使われている文房具を、植物性インクや再生紙、生分解性素材で作られた自然に還るペンなどに置き換えるだけで、環境にやさしいオフィスに近づくことができます。
さらに、プリンターやスキャナーなどをエネルギー効率の良い機器に切り替えることで、より大きな効果が期待できます。
従業員に文房具や使用済みの機材などのリサイクルやリユースを促進する他、リパーパス(別の目的のために再利用)する方法を考えてもらうことも重要です。そうすることで、サステナビリティを意識したオフィス利用のための新たなアイデアを思いつくかもしれません。
通勤による二酸化炭素排出量を削減し、他の企業とリソースを共有するハイブリッドワークは、サステナブルオフィスを実現するための最適なソリューションです。ハイブリッドワークは、従業員のワークライフバランスや生産性の向上にもつながり、環境だけでなくビジネスの将来にもメリットをもたらします。
グリーンテクノロジーへの投資は、環境に配慮する企業のサステナビリティを次のレベルに引き上げてくれます。その方法は、エネルギー効率の高いデバイスの選択から、共有クラウドストレージ、太陽光発電、環境に優しいED照明の導入までさまざま。オフィスのインフラを少し変えるだけでも、環境に大きなメリットをもたらすことができます。
照明の消灯、紙のリサイクル、再利用可能なコーヒーカップの購入など、従業員が環境に配慮した行動を優先することは小さいながらも重要です。従業員の責任ある行動を後押しするためにも、持続可能なビジネスの実践を企業理念の一部として打ち出す企業が増えています。
通勤者の多くが交通渋滞の中で何時間も車の中に座って過ごすことにより、公害の原因となってしまっています。可能な限り公共交通機関の利用、相乗り、自転車、徒歩での通勤を奨励し、二酸化炭素排出量を最小限に抑えましょう。
また、従業員が自宅近くのフレキシブルオフィスを利用できるようハイブリッドワークを導入することにより、長時間の通勤の必要性をなくすことができます。
・デスクとプリンタースペースの近くにリサイクルボックスを設置する。
・不要な家具やアイテムのためのドロップオフポイントを設置し、再利用を促す。
・壊れた電子機器の修理や撤去を持続的に行うための修理スキームやリサイクルプログラムを導入する。
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従来使われてきたオフィスの清掃用品の多くは、環境にダメージを与える可能性があります。清掃会社に環境に配慮した代替品の使用を依頼するか、自社で買い置きしておくことを検討しましょう。
生ごみから肥料を作ってくれるコンポストやリサイクルボックスをキッチンスペースに設置することは、シンプルながら環境に配慮した廃棄物の処理方法として効果的です。
繰り返し使えるお皿やマグカップ、ナイフやフォークを用意すれば、発泡スチロール製のカップやプラスチック製のカトラリーを手に取る必要がなくなり、環境に負荷をかけることが少なくなります。
環境に配慮したパッケージを使用し、サステナブルな原材料調達に責任を持って取り組む食品・飲料メーカーを選ぶことは、環境に優しいだけでなく、従業員の健康に配慮することにもつながります。
また、輸送時の二酸化炭素排出量を減らすためにも、地域経済に貢献するためにも、近隣のメーカーやサプライヤーを選ぶようにすると良いでしょう。
不必要な印刷を制限するようにします。ノートや文書、メモなどはデジタルで作成し、電子メールやクラウドで送信・共有するようにしましょう。
どうしても印刷を避けられない場合は、生分解性のある紙や再生紙を選び、書類は両面印刷し、ゴミはリサイクルボックスを用意して持続可能な方法で処理します。
一晩中、電子機器の電源を入れたままにしておくことは改善すべき悪い習慣です。二酸化炭素排出量とエネルギーコストに大きな影響を与えます。従業員には、退勤する前にモニターやエアコン、プリンターなど全ての電子機器の電源を切るよう、注意を促しましょう。
パソコンモニターの輝度を100%にする必要はありません。バッテリーを長持ちさせ、エネルギーを節約するためにも、70%程度に下げるよう従業員に勧めてください。
蛍光灯をLED電球に交換することは、エネルギーを節約して電気代を削減するための簡単なステップです。
センサーライトを導入すれば、必要に応じて照明が点灯し、人がいなくなると消灯するため、無駄なエネルギー消費を抑えることができます。
オフィスの温度が大きく変動すると、より多くのエネルギーを消費し、より多くの二酸化炭素を排出することになります。しかし、オフィスのエアコンの設定温度をめぐっては人によって感じ方が違い、トラブルになりがちなのも事実です。
まずは、エアコンの温度を18℃に設定し、チームがどのように感じるかフィードバックをもらってください。その後、理想的な温度が見つかるまで1度ずつ温度を上下させていくと良いでしょう。
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快適で心地良い職場環境は、従業員のモチベーションを高めます。サステナブルオフィスでは、最適な室温を保ち、自然光を取り入れるなど、生産性を高めるための工夫が至る所に施されています。
オフィスのテクノロジーやインフラをより持続可能なものにするためには、多少の初期費用がかかるかもしれません。しかし、こうした変化は環境と企業の長期的な利益につながります。
ソーラーパネルを設置すれば、余った電気を電力会社に売ることで利益を得ることができます。さらに、初期費用を抑えて対策を講じることで、大きな費用対効果を得ることができます。例えば、リサイクルボックスやコンポストボックスを設置すれば、廃棄物処理費用をすぐに削減することができるでしょう。
サステナビリティをコアバリューとする企業では、従業員はより充実感を得られ、ロイヤルティを高めると報告されています。グリーンイニシアチブを奨励するためにチームをまとめることは、従業員に大きな目的を与えることにつながります。
Original Source:
―regus.com
この記事の執筆者:
日本リージャスホールディングス株式会社
世界120カ国、3,300拠点、ユーザー数800万人のネットワークを有するフレキシブルオフィスの最大手、リージャスグループ(IWG社)。その日本国内事業展開を担う日本リージャスホールディングス株式会社は、1998年の事業開始から現在までに47都市、172拠点(2022年6月末時点)を開設してきました。その強みは出店地域の特性に応じて様々なタイプのフレキシブルオフィスブランドを展開している点です。国内のリージャスは、高級ブランド「Signature」(シグネチャー)、コミュニティ型の「SPACES」(スペーシズ)、ハイグレードな「Regus」(リージャス)、リズナブルな「オープンオフィス」、交通機関隣接型「リージャスエクスプレス」の5ブランドを展開し、多くの皆様に快適なフレキシブルオフィスを提供しています。